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地下空間の安全性


背景

 都市部では機能の集中化に伴い、建物の高度利用と共に地下空間も整備されてきました。地下空間は、市街地の活性化を図るための空間として、 また交通の分離をおこない歩行者が快適に利用できる空間として、その用途は多岐にわたり、現代の都市における役割は非常に大きいものであると言 えます。

 しかし一方で地下空間は、人間の生活空間としてはまだまだ歴史が浅い部分であり、防災上の問題点も多く残されているのが現状です。具体的には、 以下のようなことが指摘されています。


  • 不特定多数の人がいることや、通路として利用する人もいるため、地下空間に対して不慣れな場合がある。 
  • 外界との視覚的関係が欠如し、全体像や自分のいる位置が把握しにくいので、非常時に適切な対応をとりづらい。 
  • 火災時に給気不足となり、不完全燃焼などによる煙の大量発生の危険性がある。 
  • 火災時に停電や煙の発生などのため視覚の確保が困難になり、パニックの発生を招く可能性がある。 
  • 地上を避難場所とする場合、煙の移動方向と避難の方向が同一になるため、危険性が高い。

 そのような中、2003年2月18日に起きた韓国テグ地下鉄放火火災事件は死者192名、負傷者148名を出す大規模な事故となり、改めて地下空間に おける火災の怖さを思い知らされました。
 この事件では、管理側の不手際も被害拡大原因の1つと言われており、現代の設備技術に頼りすぎていた管理体制が背景にあったとも言えます。 日本でもこの事件を機に、各地下鉄機関ひいては地下空間の安全性に対して再び議論が行われるようになりました。


 さまざまな災害に対して地下空間は、まだまだ改善すべき多くの問題を抱えているといえます。



 
目的

 本研究室では、このような地下空間の安全性を確保するために、さまざまな活動を支援する設備や地下空間そのものの平面計画等のハード面、 管理者の管理体制や地下空間に長時間滞在する人に対する教育等のソフト面、これらの両面から、効果的な対策を検討しています。そのためには 考えられる対策を二重、三重に講じるなどして、地上の建築物以上に防災計画のレベルを上げる必要があります。



研究内容

 本研究室では地下街の防火管理者に対し調査を行い、防火管理のあり方について検討を行いました。近年のハード設備等の充実によって、 訓練等への意識の低下を指摘しました。ハード対策とソフト対策がお互いに補完しあうような関係を作り上げる必要があります。
 今後も地下空間における物理的な特殊性・問題点、人間的な特殊性・問題点、および地下街地下鉄等の接続問題など、多角的な視点をもって、 地下街の安全性をさらに万全なものにするために、研究を進めていきます。

Copyright(C) Urban Safety Management Lab.,Kobe Univ. all rights reserved.



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