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日本建築学会計画系論文集
Journal of Architecture, Planning and Environmental Engineering (Transactions of AIJ)

主題: 兵庫県南部地震後の火災における耐火造・準耐火造建物の類焼要因
著者: 村田明子,横田英邦,北後明彦,室崎益輝
掲載: 日本建築学会計画系論文集 NO.553 P.9~P.16 2002年3月
概要: 建物の類焼の有無や焼損被害程度は、受害側建物の開口部・外壁条件や建物特性、隣棟距離、隣接建物の構造などの各要因の影響を受けるなど、以下のような知見が得られた。(1)開口部に関して、2㎡未満の網入りガラスの場合、燃焼建物との距離が2.5mを超えていれば脱落しにくい、また、バルコニーの有無とガラス脱落率に関連が見られ、開口部2㎡未満で燃焼建物との距離2m以上の場合にはバルコニーが延焼防止に寄与するが、距離2m未満では逆効果となる。(2)建物特性に関して、3階建の建物で全焼率が高く、RC造では建築面積が大きいほど全焼率が低く、外部焼の割合が高い、用途別では事務所では全焼率が低く、工場・店舗・飲食店などの内部の防火区画が少ない用途では全焼率が高い。(3)隣接建物との関係について、延焼建物までの距離が1m以内に位置する壁面の数が多い建物ほど全焼しやすく、また建物の2面以上で燃焼建物との距離が1m以内という条件ではRC造であっても全焼しやすい。また、RC造は四方の隣接建物のうち2面以上が木造建物であり、それらが燃焼していた場合には全焼しやすい傾向がある一方、S造の場合は隣接する燃焼建物の構造との関連はない。

主題: 兵庫県南部地震時に出火した耐火造・準耐火造建物からの延焼要因
著者: 村田明子,横田英邦,北後明彦,室崎益輝
掲載: 日本建築学会計画系論文集 NO.553 P.1~P.8 2002年3月
概要: 市街地火災における加害性の観点から内部延焼要因及び隣棟延焼要因を考察した結果、次の諸点を明らかとした。(1)建物の構造被害が地震後の延焼拡大要因の一つであり、また、危険物を扱う工場や可燃物の多い店舗などの用途、及び小規模建物の場合に隣棟延焼しやすい傾向があり、建物用途や規模が隣棟延焼要因の一つである。(2)最小隣棟距離が小さい場合に延焼しやすく、平均隣棟距離で示した建物密度の違いが隣棟延焼の有無に関わること、また、道路などの空地に2面以上面しているなどの立地条件が隣棟延焼の有無に関与している。(3)消防活動の有無と隣棟延焼の有無、及び、単体火災の区画焼損規模の間の傾向を示し、隣棟延焼に関わる各要因を用いて隣棟延焼の有無の判別式を作成した結果、構造被害、最小隣棟距離、公設消防活動、建物用途を変数とする式が得られ、それらの変数が隣棟延焼の有無に寄与する。以上のことから、地震後に耐火造・準耐火造で出火した場合、次の条件を多く満たした場合に、より隣棟へ延焼しやすくなる。即ち、工場や可燃物の多い店舗などの用途で出火した場合、地震で構造体が損傷した建物で出火し耐火性能を保持できなかった場合、隣接建物の一棟との距離が非常に小さい場合、道路等の空地に2面以上面していない場合、初期消火や公設消防活動が奏功しない場合である。

主題: 戦後の大火に見る復興都市計画に関する研究
著者: 越山健治,室崎益輝,高田祐孝
掲載: 日本建築学会計画系論文集 NO.550 P.217-P.224 2001年12月
概要: わが国の戦後の大火について、その復興過程を都市計画事業制度との関わりで分析し、研究の結果明らかとなったのは次の3点である。(1)戦後の大火復興都市における都市防火の手法の基本は、広幅員道路・河川緑地・緑地帯など十分な空間を持つことで延焼遮断性能を確保する「Park, Parkways and Boulevard System(パークシステム、戦災復興以降の防災都市計画理論の核心部分)」であった。(2)時代が経過するにつれて、耐火建造物の性能によって防災機能が代替されるようになり、計画理論や法制度は人工的構造物による都市防火へとシフトしていった。(3)復興計画に地域性が取り入れられることがなかった一方で、事業の進捗状況は地域性の影響が現れていた。

主題: 1995年兵庫県南部地震における出火機構の分析-過去の地震火災事例との比較による考察
著者: 村田明子、岩見達也、北後明彦、室崎益輝
掲載: 日本建築学会計画系論文集、No.548、1-8 、2001年10月
概要: 兵庫県南部地震を含め、過去の地震火災の出火機構を火源や着火物との接触の観点から分析し考察している。その結果、(1)「熱源あり」型は、発災時刻や季節、火気器具等の保有・使用状況との関わりが強い一方、「熱源発生(衝撃、衝撃+通電)」型は時刻や季節、使用状況と無関係に建物被害率との関連が強い、(2)兵庫県南部地震では、「地震前に熱源あり」型の出火は少ないが焼損規模が大きく、「熱源発生」型の出火は多いが焼損規模が小さい、(3)過去の地震火災では、「熱源あり」型で「地震により接触」型が大部分であったが、兵庫県南部地震では、出火機構が多様化している、ことが明らかとなった。

主題: ストレスを加えた防災訓練時の生理的指標と心理的指標の関係
著者: 久保田勝明,室崎益輝
掲載: 日本建築学会計画系論文集 NO.536 P.1-P.5 2000年10月
概要: 広島の防災センターの夜間避難訓練において、被験者の心理的な不安感が、自律神経の測定によって説明できることを明らかとした。

主題: 統計調査に基づく防火対策の信頼度に関する研究
著者: 中野美奈,油野健志,湯谷孝夫,室崎益輝
掲載: 日本建築学会計画系論文集 NO.525 P.1 1999年11月

主題: 防火対策の設置と信頼度が避難安全性と防火コストに及ぼす影響
著者: 中野美奈,油野健志,湯谷孝夫,室崎益輝
掲載: 日本建築学会計画系論文集 NO.516 P.1-P.7 1999年2月
概要: 防火対策の設置にかかるコストを積算資料などより明らかにし、対策を講じた場合の安全性とそれに要するコストを比較して、対策の有効性を検討する方法を示した。

主題: 病院の患者受け入れ能力に関する推定モデルの検討
副題: ―震災時・医療制約の定量的評価に関する研究―
著者: 今泉恭一,佐藤博臣,室崎益輝
掲載: 日本建築学会計画系論文集 NO.509 P.157-P.162 1998年7月
概要: 阪神・淡路大震災における病院の応急対応の実態調査をもとに、病院の資源と受け入れ能力との関連性を明らかにして、災害時の受け入れ能力の推定モデルを開発した。

主題: モデル空間における壁面輝度が避難経路選択に及ぼす影響
副題: 建物内火災時の避難経路選択時の向光性に関する研究
著者: 久保田勝明,室崎益輝,高橋一郎
掲載: 日本建築学会計画系論文集 NO.500 P.1 1997年10月

主題: 建物内T字路における避難経路選択に床面照度および通路幅員が与える影響
著者: 林 広明,室崎益輝,西垣太郎
掲載: 日本建築学会計画系論文集 NO.498 P.1 1997年8月
概要: T字路の実大避難実験において避難幅員のほか、床面輝度を変化させ、幅員と輝度の複合作用が及ぼす経路選択特性を解明した。林 広明 博士論文「建物火災時の避難経路選択に建築的要因が与える影響に関する研究」の「第4章 建物内T字路における避難経路選択に通路の床面照度が与える影響-向光性に関する研究-」に該当する。

主題: 建物内T字路における避難経路選択に通路幅員が与える影響
著者: 林 広明,室崎益輝,西垣太郎
掲載: 日本建築学会計画系論文集 NO.487 P.9 1996年9月
概要: 林 広明 博士論文「建物火災時の避難経路選択に建築的要因が与える影響に関する研究」の「第4章 T字路における避難経路選択に通路幅員が与える影響-向開放性に関する研究-」に該当する。

主題: 中国における防火設計と法規制に対する設計者の意識調査
副題: 建築防火法規に関する日中比較研究
著者: Zhang Qi,室崎益輝
掲載: 日本建築学会計画系論文集 NO.482 P.105 1996年4月
概要: 中国の3つの大都市(北京、天津、上海)における建築設計者の防火設計と法規制についての建築設計技術者を対象とした防火設計法に関する意識調査により、防火設計についての意識の実態と問題点を明らかとし、中国における将来の防火法規制の改善方向についての示唆を示した。中国の防火法コードが確立されて以来、科学的根拠が薄いまま、建築設計者はこれらのコードに従うように強制されてきた。その結果、技術的な改善や様々な建築の形態に追いついていくことが困難であるとともに、設計者が「安全な建築物」を自発的に設計することを抑制し、硬直的な標準強制コードに頼って受動的に設計するという態度を醸成してきたのである。

主題: 避難経路の想起に影響を与える空間的特徴に関する研究
著者: 林 広明,室崎益輝,西垣太郎
掲載: 日本建築学会計画系論文集 NO.476 P.1 1995年10月
概要: 新宿センタービルの地下商店街で視界制約下における経路探索行動実験の結果を分析し、経路の想起に影響を与える空間的特徴を抽出した。林 広明 博士論文「建物火災時の避難経路選択に建築的要因が与える影響に関する研究」の「第3章 避難経路の想起に影響を与える建築的要因-帰巣性に関する研究-」に該当する。

主題: 階段室における2群集の合流に関する実験的研究
著者: 北後明彦、室崎益輝、久保幸資
掲載: 日本建築学会計画系論文報告集 NO.358 PP.37-43 1985年12月
概要: 屋内避難階段で約150名の被験者を2群集に分け、上階からの降下群集と通路からの群集を合流させる実験を実施した。その結果、実験に用いた階段形状では階段降下群集が方向転換しながら通路群集に割り込む状態となるため通路群集が優勢となることを、定常段階に見られる合流状態の周期性の考察を通じて明らかとした。この研究は、博士論文(北後明彦)「建築物における火災時の避難行動特性に関する研究」の「第5章 階段室における2群集の交流に関する実験」に該当する。

主題: 煙の中における人間の避難行動実験
副題: 避難経路選択特性及び歩行速度に関する実験的研究
著者: 北後明彦
掲載: 日本建築学会計画系論文報告集 NO.353 PP.32-38 1985年7月
概要: 耐煙訓練室で経路形態、照度、被験者属性の実験条件を設定し、発煙筒の煙の中で被験者が避難経路を避難する実験を実施した。その結果、「逃げ遅れ型」の場合、同じ煙の中でも照度条件によって人間行動は大きく変わり、明るい時は直進の傾向が強く歩行速度の分散が大(歩行速度は通常照明では0.8~1.0m/秒、非常照明では0.4~0.8m/秒程度)、暗闇では壁にそった歩行となる傾向が強く歩行速度の分散は小(歩行速度は0.2~0.3m/秒程度)となることを明らかにした。この研究は、博士論文(北後明彦)「建築物における火災時の避難行動特性に関する研究」の「第7章 煙の中における人間の避難行動実験」に該当する。

主題: 建築物における避難行動事例の類型化及び規定要因の構造
著者: 北後明彦
掲載: 日本建築学会計画系論文報告集 NO.347 PP.28-33 1985年1月
概要: 過去の主要な建物火災における避難行動事例をカテゴリーデータ化し、カテゴリーの外的基準のない数量化理論により類型化した。その結果、建築物の空間特性、利用状況と避難行動との間には明確な対応があり、「大空間・集合施設型」の建築物では「群集避難型」、「小空間・宿泊施設型」や「混空間・複合施設型」では「逃げ遅れ型」の避難類型となりやすいことを明らかにし、各類型に対応する避難計画が必要となることを示した。この研究は学位論文の一部を構成している。この研究は、博士論文(北後明彦)「建築物における火災時の避難行動特性に関する研究」の「第2章 避難行動事例の類型化とその規定要因の構造」に該当する。

主題: 避難経路選択に関する実験的研究
副題: スライド提示による一対比較データの分析を通じて
著者: 北後明彦
掲載: 日本建築学会論文報告集 NO.339 PP.84-89 1984年5月
概要: 空間条件と人間の経路選択傾向のかかわりを把握するため、火災時を想定してスライドを2枚同時に被験者に提示し瞬間的に避難方向を選択させる実験を実施し、得られた一対比較データを多次元尺度構成法により分析した。その結果「見えやすさ」つまり進路条件に関する要因が主たる経路選択の要因であることを明らかにし、よく認識され経路選択される避難設備の空間形態の評価基準を示した。この研究は、博士論文(北後明彦)「建築物における火災時の避難行動特性に関する研究」の「第4章 避難経路選択に関する実験」に該当する。


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