レポート課題(1999年度実施済み)
「いかにして寸法は決められるか。2つの場合を想定して、各自で考察して下さい。」
受講生から提出された内容は、寸法を考える際に必要な様々な視点(講義でいくつか示した)をカバーしている。
提出されたレポートの中から、いくつか紹介します。
「住宅は毎日使われるので、“快適さ”というのが重視されて寸法が決まるべきである。」(神末直和)←設計する場合、目的が重要なことを把握している。
「車いすの方が健常者と同等に使用できるお店の寸法を決める場合、車いすの方が店の中に入りやすいように、段をなくし、スロープを付けなければならないのでスロープの幅と場所、駐車場からの距離などを考えないといけないと思う。また、お店の中で自由に動けるように車いすが回転できるぐらいの幅を、どの場所でもとっておかないといけないと思う。そして、商品を取りやすいように、棚の高さを低くしないといけないと思う。同様にレジの間隔や、幅も考えないといけないと思う。」(真井 哲夫)←具体的に、どのような行動をするかに則して考えている。実際の設計の場合も、このようなストーリーシミュレーションは重要。
「せまい所に建てる場合、多少使いにくくても、法律に違反しないようにするためには理想どおりにならないこともある。」(中谷 純子)、「法律に定められた範囲内で施工を行わなければ違法建築になってしまうので、そこで寸法の制限がされる。」(仲野 公朗)←法律に制限されて、本来の目的を達成するための設計ができない場合を指摘している。法律は他の目的を達成するために、良かれと制定されているのだが。この隘路を打破することはできるか。
「公共の建物を建てる場合、あらゆる人が利用するので、身長が高い人、低い人、身体に障害をもった人などが余裕を持って利用できるように寸法を決める。」(中村 岳)←たいせつな視点です。これをいかに達成するかが課題です。最近、このような考え方をユニバーサルデザインと呼んでいます。